普段、Linuxを使っているのに全くコマンドを使わない「たのいけ」です。
そんな私ですが、普段使いで唯一コマンドを使っている作業がバックアップです。
2〜3個専用アプリを試してみましたが、体感的にコマンドを使った方が簡単に、早くできたからです。
でも、コマンドを覚えて手打ちしている訳ではありません。
覚えなくても簡単かつ正確にコマンドが使える方法がありますので、バックアップに使うコマンドと合わせて紹介したいと思います。
これから紹介する方法は他のコマンドにも応用できる方法です。
「コマンドを覚えるの大変だなあ」と感じている方の参考にしていただければ幸いです。
1. 覚えなくても簡単かつ正確にコマンドが使える方法
使うのはrsync コマンドで、予めテキストファイルに入力して保存しておきます。
そして、バックアップしたい時には、以下の作業をするだけです。
- 保存するストレージ(USB メモリや外付けHDDなど)をパソコンに接続する。
- 保存しておいたテキストファイルを開く
- ターミナル((端末)を開く
- テキストファイルからコマンドをターミナルにコピペして実行する。
保存しておいたテキストファイルは、バックアップの内容を変更しない限り何度でも使えます。
この方法なら、普段はたった4ステップで全く同じバックアップ作業が何度でもできるようになります。
もちろん、コマンドを覚える必要はありません。
2. rsync コマンドの書き方
rsync コマンドはザックリ言うと、元のファイルやディレクトリを、指定した別の場所に同じ状態でコピー(同期)してくれるコマンドで、書式は以下の通りです。
rsync 【オプション】 【バックアップ元のパス】 【バックアップ先のパス】
平たく言うと
「rsyncコマンドに☆☆というオプションを付けて、パソコンのどこどこにある○○というディレクトリ(ファイル)を、どこどこの△△という場所にバックアップしてね。」
ということになります。
コマンドは、オプションを付けることで、より複雑な作業ができるようになります。
バックアップ元のパスというのは、ファイルの置き場所と、必要に応じてファイル名と拡張子を足したセットです。
バックアップ先のパスというのは、バックアップデータを保存する場所のことです。
また、コマンドと【オプション】と【バックアップ元のパス】と【バックアップ先のパス】の間には、必ず半角スペースを入れてください。
(1) 使用するオプション
rsyncコマンドにはいくつものオプションがありますが、私は【-auv – -delete 】と入力しています。
<注意>
deleteの左にある”- -”は、本来”-”が2つ連続しているのですが、うまく表示できません。
そのため、本来の表記とは違いますが、この記事では”-”と”-”の間に半角スペースを入れてあります。
コピペして使うことができませんので、ご注意ください。
左側の-auv のアルファベット3文字は、1文字づつ別のオプションで、- -delete は一つのオプションで、計4つのオプションを付けています。
先ほどの書式に当てはめると以下のようになります。
rsync -auv – -delete 【バックアップ元のパス】 【バックアップ先のパス】
使用しているオプションの意味は以下の通りです。
linux コマンドは、複数のオプションを指定する時は、”-”の右側に連続して書くことができます。
このため、“-a -u -v”と書いても良いのですが、より簡単に”-auv”と書いています。
”- -delete”については、どこを調べてみても他のコマンドと連続して書いているサイトが無かったため、別に書いてあります。
なお、”-v”はバックアップの進捗状況がターミナル(端末)に表示されるだけのオプションで、無くてもかまいません。
ただ、あった方が”やってる感”があって、画面を見ていてカッコいいので付けています。
(2) バックアップ元のバス
先ほどの書式の紹介部分に【バックアップ元のパス】というものがありましたが、パスというのは「パソコンの中をどうたどったら目的の物にたどり着くのかを順を追って書いてある文章のことです。
難しそうですが、実は目的のディレクトリやファイルのパスを調べるのは簡単です。
画面左下のMenuをクリックして、表示されたメニューのアプリケーションの所にあるシステムツールをクリックすると更に右側にアプリが表示されるので、その中から「ファイルブラウザ」をクリックします。
表示された「ファイルブラウザ」でバックアップしたディレクトリを探して開くと、「ファイルブラウザ」上部の「場所:」の右側に”/home/〜”と”/”(ルート)から始まるパスが表示されます。
これをrsyncコマンドの【【バックアップ元のパス】や【バックアップ先のパス】にコピーして貼り付けるだけです。
ただし、これだとディレクトリまでしか指定することができません。
個別にファイルを指定したい場合は、上記のパスの後に”/”と”ファイル名”と”拡張子”を入力してください。
仮にtanoikeというIDで使用しているパソコンのDocumentsディレクトリにある”recipe-curry.txt”というファイルをバックアップしたい場合、【バックアップ元のパス】の部分は、以下の通りになります。
/home/tanoike/Documents/ recipe-curry.txt
(3) バックアップ先のパス
【バックアップ先のパス】は、バックアップを保存したいUSBメモリや外付けHDDを接続して開き、「ファイルブラウザ」に表示されたパスをコピーして貼り付けます。
【バックアップ元のパス】で個別ファイルを指定していた場合でも、”/”と”ファイル名”と”拡張子”は必要ありません。
ただし、これだけだと、保存したいUSBメモリや外付けHDDにいきなり書き込むことになります。
USBメモリや外付けHDDに新たにディレクトリを作って保存したい場合は、上記のパスの後に”/”と”新たに作りたいディレクトリ名”を入力してください。
仮に、外付けHDDに”BackUp”というディレクトリを作って、その中にバックアップデータを入れたい場合、【バックアップ先のパス】の部分は、以下の通りになります。
/media/tanoike/【機器の名前】/BackUp
上記で追記した”/BackUp”ですが、初回はまだ保存先の外付けHDDには無いため、新規で「BackUp」というディレクトリが作成されます。
2回目以降は初回で作成された「「BackUp」というディレクトリに上書きしてくれますので、2回目以降のバックアップでも”/BackUp”の記述は残しておいてください。
rsync コマンドを【オプション】と【バックアップ元のパス】と【バックアップ先のパス】をそれぞれ説明しましたが、これらを総合すると、
rsync -auv – -delete /home/tanoike/Documents /media/tanoike/【接続した機器の名前】/BackUp
となります。
「rsync コマンド」と短い言葉になっていますが、実際に使うとなるとこんなにも長い文章になってしまいます。
とても覚えられませんし、バックアップする度に上記の作業をしていたら時間の無駄です。
これを解消するため、一度作成したコマンドを使い回せるように、テキストファイルに保存しておきます。
3. コマンド保存用テキストファイルの書き方
コマンド保存用テキストファイルといっても、ただのテキストファイルです。
中身は、単に前述した方法で作成したrsync コマンドの文章を入力してあるだけです。
私のバックアップコマンド保存用テキストの内容は、ID名は変えてありますが、以下の通りです。
なお、外付けHDDの名前は仮に「1234aabok203」としておきます。
バックアップコマンド一覧
rsync -auv – -delete /home/tanoike/Documents /media/tanoike/1234aabok203/BackUp
rsync -auv – -delete /home/tanoike/Downloads /media/tanoike/1234aabok203/BackUp
rsync -auv – -delete /home/tanoike/Music /media/tanoike/1234aabok203/BackUp
rsync -auv – -delete /home/tanoike/Pictures /media/tanoike/1234aabok203/BackUp
rsync -auv – -delete /home/tanoike/Videos /media/tanoike/1234aabok203/BackUp
Linux Mint に元々ある「 Documents」「 Downloads」「 Music」「Pictures 」「 Videos」を使って私はデータを管理しているため、上記のコマンドを保存しています。
なお、このコマンド保存用のテキストファイルはDocumentsディレクトリに保存しています。
Documentsディレクトリをバックアップする時にこのテキストファイルを開いていていても、ちゃんとバックアップしてくれますので安心してください。
ただし、テキストファイルの内容を変更した時は、バックアップの前に上書き保存しておかないとバックアップ側に反映されませんので、ご注意ください。
4. バックアップの復元方法
ここまではバックアップの方法について紹介しましたが、復元する時はどうしたら良いのかというと、
「【バックアップ元のパス】と【バックアップ先のパス】の位置を逆に書いて実行する」
だけです。
とても簡単ですが、試しにやってみたりしないようにしてください。
もし初回なら、元データが消えてしまいます。
2回目以降の場合、古いデータに置き換わってしまいます。
復元のコマンドは、誤使用を防ぐため、バックアップのコマンド用テキストファイルに一緒に保存しておかない方が良いと思います。
そもそも、復元なんてほとんどすることはありませんので、私は予め作っておくことはしていません。
まとめ
Linuxを使っているのに全くコマンドを使わない私ですが、普段使いで唯一コマンドを使っている作業がバックアップです。
そのバックアップに使っているrsync コマンドと、覚えなくても簡単かつ正確にコマンドを使える方法を紹介しました。
予めコマンドを作ってテキストファイルに保存しておいて、使う時にターミナル(端末)にコピーして貼り付けて使うという簡単な方法ですが、とても便利です。
この方法は文章が長くなるコマンドに有効です。
「コマンドを覚えるの大変だなあ」と感じている方の参考にしていただければ幸いです。