「高性能なパソコンにLinuxをインストールして使ってみたい!」そんな思いからマウスコンピュータ製ゲーミングパソコンのG-Tuneを買って、これまで使用していたZorin OSをインストールしたのですが、見事に失敗!
試行錯誤したのですが結局うまくいかず、試しにインストールしてみたPop!_OSが一発で成功しましたので、今回はその顛末を記事にしたいと思います。
Linuxのインストールがうまく行かず、たったひとりで手探りで四苦八苦していると、「本当にこれで良いんだろうか?」と不安になると思います。
「こんなとき、他の人はどういうことをしているんだろう?」
って気になりますよね。
私の場合、Zorin OSをインストールできなかったという点では失敗でしたが、Pop!_OSがインストールできたという点ではLinuxのインストールには成功したと言えます。
失敗談のひとつとして楽しんでいただいても、Linuxがうまくインストールできなかったときの対処法の参考にしていただいても結構です。
みなさんの、何かしらの参考になれば幸いです。
Zorin OSをインストールしようとしたG-Tuneてどんなの?
G-Tuneは、日本のマウスコンピューターが製造しているゲーミングパソコンです。
冒頭にも説明した通り「高性能なパソコンにLinuxをインストールして使ってみたい!」という思いから、マウスコンピューターのサイトからアウトレットでパソコン本体とモニタを購入しました。
スペックは以下の通り。
商品型名 | G-Tune DG-I5G6T |
OS | Windows 11 Home 64ビット |
オフィスソフト | なし |
CPU | インテル(R) Core(TM) i5-13400F プロセッサー ( 10コア / 6 P-cores / 4 E-cores / 16スレッド / TB時最大4.6GHz / 20MB ) |
マザーボード | インテル(R) B660 チップセット ( Micro ATX / SATA 6Gbps 対応ポート×4 / M.2スロット×2 ) |
メモリ | 16GB メモリ [ 8GB×2 ( DDR4-3200 ) / デュアルチャネル ] |
SSD (M.2) | 512GB NVM Express SSD ( M.2 PCI Express 接続 ) |
グラフィックス | NVIDIA GeForce RTX 3060 Ti / GDDR6X 8GB ( DisplayPort×3 / HDMI×1 ) |
電源 | 750W 電源 ( 80PLUS(R) BRONZE ) |
オプション | 12cm静音CPUファン×1基(変更) 無線LAN(増設) ケース変更(【G-Tune】ブラックミニタワーケース ( ケースファン 前面×2 / 背面×1 搭載 )) |
モニタ | [ 23.8型 IPS方式パネル ] iiyama ProLite XU2492HSU-1K ( ブラック / 1920×1080 / DisplayPort,HDMI,D-SUB / USBハブポート ) |
超高性能というわけではありませんが、本体とモニタでちょっとオプションを付けて19万年弱。
私がこれまで使用してきたパソコンの中では最も高性能かつ、自分的にはかなりお得に購入できたと思います。
Zorin OSって何?
Zorin OSは、WindowsユーザーがLinuxの機能を簡単に使用できるように設計された初心者向けのLinuxディストリビューションで、Ubuntuというディストリビューションをベースに作られています。
特徴としては、
・Windowsのようなデスクトップ
・Windowsアプリのインストール&使用が簡単にできる
・Windowsのゲームも遊べる
・NVIDIAのGPUをサポートしている
があげられます。
WindowsからLinuxに切り替えて8年目になりますが、どうしても必要なWindowsアプリがあり、Zorin OSを使用していました。
私が調べた限り、日本ではWindows風ディストリビューションの中で2番目に人気があります。
Zorin OSのインストール失敗状況と試行錯誤と断念
今回購入したG-TuneはLinuxをインストールするために購入しました。
とはいえ、初期不良がないかの確認と、Zorin OSのライブUSBメモリの作成をしたかったので、まずはWindows11の初期設定を行い、起動しました。
Windows11は正常に起動し、Zorin OSのisoファイルのダウンロードとライブUSBメモリの作成まで問題なく終わったので、念のためWindows11のリカバリーUSBメモリも作成しました。
さらに、BIOS(UEFI)でパソコン起動時の読み込みをUSBメモリを最優先にしてZorin OSのライブUSBメモリでZorin OSが正常に動作するか確認。
正常に動作したので、そのままZorin OSをG-Tuneにインストールして再起動したところでトラブル発生。
いくら待ってもディスプレイは黒い画面のままで、左上でカーソルが点滅しているだけの状態になってしまいました。
試行錯誤①(黒い画面のままで、左上でカーソルが点滅しているだけになった)
実はこれ、Linuxは起動しているが、GUIの起動に失敗している状態であるとのこと。
「Ctrl」+「Alt」+「F2」を押すと CUIのログインが表示されるので、インストール時に設定したログインIDを入力して「Ent」。
ログインパスワードの入力を求められるのでパスワードを入力すると、以下の画面になるので、
$ shutdown -h now
と入力してパソコンを終了させます。
再度パソコンを起動しても状況は変わらなかったためネットで調べたところ、以下の3つが原因として見つかりました。
・パソコンのハード的な故障
・ウィンドウシステムのwaylandの不具合
・NVIDIAのGPUドライバが無い、もしくは搭載機器と合っていない
試行錯誤②(パソコンのハード的な故障かどうか確認)
新品のパソコンを買い、最初にWindows11をセットアップして確認したので故障しているということはないはずなのですが、念のためWindows11に戻して正常に動作するかの確認。
最初にWindows11のリカバリーUSBメモリを作成しておいたので、簡単にWindowsに戻すことができました。
動作確認も兼ねてZorin OSの公式サイトを開くと、なんとバージョンが16.3に更新されていたので、最新バージョンならうまくいくかもと思い、Zorin OS 16.3Core、Zorin OS 16.3LiteのライブUSBを作成しましたが、問題なく作業完了。
ハード的な故障でないことも確認できたので、新しく作成したライブUSBメモリでZorin OS 16.3Coreをインストールするも失敗。
Zorin OS 16.3Liteも試しましたが、同じ症状で失敗しました。
試行錯誤③(waylandの不具合に対する対処)
Linuxでは、GUIを作動させるために古くからX11というウィンドウシステムが使われていたのですが、Debianでは10以降、Fedoraでは34以降、ubuntuも18.04以降はwaylandというウィンドウシステムが使われるようになりました。
しかし、waylandはまだ使われて日が浅いため、既存のシステムが対応しておらず不具合を起こすことも多いとのこと。
waylandの不具合には、「waylandを無効化してX11(X.Org)をインストールして切り替える」という方法があるとのことだったので試すことに。
結果、waylandの無効化はできたのですが、X11(X.Org)がインストールできず、これもうまくいきませんでした。
試行錯誤④(NVIDIAのGPUドライバのインストール)
今回購入したパソコンにはNVIDIA GeForce RTX 3060 Tiというグラフィックボードが搭載されており、CPUにはGPUが搭載されていません。
ディスプレイに画像を表示させるためにはグラフィックボードが作動しなくてはならないのですが、それにはグラフィックボードに搭載されているGPUのドライバが必要になります。
このため、再度パソコンの電源を入れて起動。
「Ctrl」+「Alt」+「F2」を押してCUIでログインし、コマンドラインでNVIDIAの対応したドライバを調べてインストール。
最初は順調にインストールしていたのですが、最後にエラーが出て正常にインストールすることができず、再起動しても症状は変わりませんでした。
金曜日の夜からインストールをはじめて、この段階で日曜日の夜中になってしまいました。
ここでやっとZorin OSのインストールを断念しました。
Pop!_OSのインストール成功とその理由
Zorin OSのインストールが失敗したからといって、Linuxのインストールを諦めた訳ではありません。
なぜなら、Linuxディストリビューションは世の中にたくさんあり、その中にはインストールできるディストリビューションもあるはずだと思ったからです。
機械的な故障ではないことは確認済み。
Zorin OSのインストールがうまくいかなかった原因としては、
・ウィンドウシステムのwaylandの不具合
・NVIDIAのGPUドライバが無い、もしくは搭載機器と合っていない
の2つのいずれかと思われます。
waylandについては、前述の通りDebian、Fedora、ubuntuですでに使われており、waylandを避けてディストリビューションを探すのはむずかしいと判断。
以前、NVIDIAのGPUドライバも一緒にインストールできるディストリビューションがあるという記事を見たことを思い出して探したところ、それがPop!_OSであることが分かり、これをインストールすることにしました。
Pop!_OSって何?
Pop!_OSもUbuntuをベースに作られたディストリビューションです。
本家サイトのサポートページに、「Pop!_OSはLinux初心者が使いやすいように設計されていますが、技術に精通した専門家を念頭に置いて開発されています。」と書かれています。
さらに本家サイト
「STEM(科学・技術・工学・数学)およびクリエイティブプロフェッショナル向けのオペレーティングシステムです。」
と表示されていますが、その他の機能として「ゲーム」もとりあげられており、WineによるWindowsアプリ(ゲーム含む)の利用にも力を入れています。
上記以外の特徴としては、
・どちらかというとMacOS風のデスクトップ
・NVIDIAとAMD両方のGPUドライバーが最初からインストールされるisoファイルがある
・起動が早い(独自のブートローダーを搭載)
・タイル型ウィンドウマネージャ
があげられます。
日本ではあまり人気がないようですが、世界的にみると、上位10位以内の人気のあるディストリビューションです。
Pop!_OSのインストール成功!
この段階では、まだパソコンは正常に作動していません。
しかし、Zorin OSのライブUSBメモリは正常に作動するため、それを利用してライブUSBメモリを作成します。
まずはライブUSBメモリを作成するためのアプリ「balenaEtcher」をダウンロード。
次にPop!_OSの.isoファイルもダウンロードするのですが、その際、以下の画像のようにNVIDIAドライバがプリインストールされる.isoファイルが選択できるので、これをダウンロード。
balenaEtcherを使用してPop!_OSのライブUSBメモリを作成して、案内に従ってパソコンにインストールしたところ、無事にGUIも起動しました。
その後、日本語入力の設定で少しつまづきましたが、解決後はごく普通に使用できています。
Pop!_OSもウィンドウシステムにはwaylandを使用していることから、やはり、NVIDIAのGPUドライバが足りなかったのが、インストールがうまくいかなかった原因だったようです。
Zorin OSでもインストール時にNVIDIAのGPUドライバをプリインストールできることが判明
この記事を書いている途中で、Zorin OSでもインストール時にNVIDIAのGPUドライバをプリインストールできることが判明しました。
Zorin OSの場合、NVIDIAのGPUドライバをプリインストールする.isoイメージをダウンロードする訳ではなく、以下の画像のようにライブUSBメモリ起動時の選択画面での選択方式になります。
試しにpop!_OSにVirtualboxをインストールして、Zorin OS16.3CoreをGPUドライバの無い場合と有りの場合の両方をインストールしてみたのですが、両方とも正常に起動してしまい、不具合が解決できるかどうかは確認できませんでした。
VirturalboxかPop!_OSにインストールしたGPUドライバがいい具合に調整してくれたからだと思われます。
ここで、使い慣れたZorin OSのGPUドライバインストール版にインストールし直そうかとも思ったのですが、せっかく苦労してインストールしたし、デザインも気に入ったので、しばらくPop!_OSを使用してみようと思っています。
まとめ
新しいパソコンを購入しZorin OSをインストールしたのですが、再起動しても黒い画面の左上でカーソルが点滅しているだけの状態になってしまい、色々と試してみましたが結局Zorin OSのインストールを断念。
代わりにPop!_OSをインストールしたらうまくいったので、その顛末を紹介しました。
結局、NVIDIAのGPUドライバが原因だったのですが、実はZorin OSでもインストール時にNVIDIAのGPUドライバをプリインストールする方法があることもわかりました。
ですが、せっかくインストールしてデザインも気に入ったので、しばらくPop!_OSを使用してみようと思っています。
この記事を失敗談のひとつとして楽しんでいただいても、Linuxがうまくインストールできなかったときの対処法の参考にしていただいても結構です。
みなさんの、何かしらの参考になれば幸いです。