LinuxでWindowsソフトを動かすツールとしてWineが有名ですが、そのWineをベースに開発されたBottlesというものがあります。
Pop!_OSの本家サイトで紹介されていたのでインストールして使ってみたところ、Wineよりもインストールが簡単で、Windowsソフトも正常に作動したので、みなさんにも紹介したいと思います。
BottlesはWineに機能を追加し、Windowsソフトをより快適に使用できるように作られています。
Windowsソフトが使えればWineでも何でもいいという方は、参考にしていただけると幸いです。
Bottlesとは
Bottlesは立ち位置的にいうと、WineのGUIフロントエンドです。
GUIフロントエンドとは、ベースのソフトウェアをマウス操作できるようにする操作盤のようなものですが、ベースのソフトウェアにさらに機能を追加することができます。
Bottlesで追加された機能としては、以下の通り。
・アプリケーション環境とゲーム環境を選択でき、それぞれの用途に最適化された環境が用意できる
・インストールされたWindowsソフトはサンドボックス化され、ソフトウェアの依存関係を解消できる
Bottlesの基本的な仕組みは、まずボトルという入れ物を作り、そこにWindowsソフトをインストールして管理するというものです。
このボトルという入れ物を作るときに、
・アプリケーション環境
・ゲーム環境
・カスタム環境(上級者向けなので、ここでは説明を省きます)
を選択することができ、アプリケーション環境ならアプリケーションが動作するのに最適な環境を、ゲーム環境ならゲームが動作するのに最適な環境を整えてくれます。
さらに、インストールされたWindowsソフトはサンドボックス化されおり、複数のWindowsソフトを入れてもそれぞれが動作に必要なライブラリやランタイムなどが同封されているため、依存関係で不具合が起こることもありません。
なお、このサンドボックス化をフルに使うには、Flatpakというパッケージ管理システムからインストールする必要があります。
LinuxMintのソフトウェアマネージャーとPop!_OSのPop!_Shopは、最初からFlatpakが使えるようになっています。
ZorinOSは、Wineを使うことを前提にシステムが組まれています。
このため、ZorinOSの機能を十分いかすためにも、bottleよりもWineを使うことをおすすめします。
ZorinOSでWineを使ってWindowsソフトをインストールする方法は以下の記事で紹介していますので、そちらを参考にしてみてください。
Bottlesのインストール方法
BottlesはWineのGUIフロントエンドですが、事前にWineをインストールしておく必要はありません。
いきなりBottlesをインストールしましょう。
Bottles本家サイトによると、flatpakというパッケージ管理システムを使ってBotlesをインストールすることが推奨されています。
私が確認したところ、Pop!_OSのソフトウェアマネージャーであるPop!_Shopにも、LinuxMintのソフトウェアマネージャーにもFlatpakが入っており、両方のディストリビューションで、問題なくBottlesがインストールできました。
Pop!_OSならPop!_Shopを、LinuxMintならソフトウェアマネージャーを起動して、検索窓に「Bottles」と入力してBottlesを探し出し、「インストール」ボタンをクリックすればインストールできます。
<Pop!_Shopで検索した時の画像>
<LinuxMintソフトウェアマネージャーで検索した時の画像>
Bottlesの使い方
この記事では、Pop!_OSでBottlesを使った時の画像で紹介しますが、どのディストリビューションでも使い方はいっしょです。
今回はサンプルとして、MP3Gainというmp3音楽ファイルの音量を調節するソフトウェアをインストールしています。
Bottlesのセットアップ
Bottlesをインストールしたら、最初の1回だけ以下のセットアップが必要です。
Bottoesを起動すると「Bttlesへようこそ」と表示されるので、表示右にある「>」ボタンをクリックして表示を進める
「もう少しです」と表示されるので、「続行」をクリック
セットアップが始まるので、終わるまで待つ
「完了しました!」と表示されたらセットアップ作業は完了です。
そのまま、Windowsソフトのインストールを始めましょう。
Windowsソフトのインストール方法
セットアップからつづけてWindowsソフトをインストールする場合は、「Bottlesの使用を開始」ボタンをクリック
2回目以降はBottlesを起動して「ライブラリ」が表示されたら、タブでBottlesを選択
「Bottles」タブが表示されるので、「Create New Bottle…」をクリック
「新しいボトルを作成」が表示されるので、「名前」の欄にボトルにつける名前を入力
(後で説明しますが、1つのボトルには1つのソフトをインストールすることをおすすめします。このため、ボトルの名前=Windowsソフトの名前でもかまいません。)
今回インストールするソフトはゲームではないので、「環境」は「Application」を選択して「Create」ボタンをクリック
新しいボトルの作成が始まるので、終わるまで待つ
「ボトルを作成しました」が開くので、「Close」をクリック
「Bottles」タブが開き、「multimedia」というボトルが作成されているので、その右側の「>」をクリック
「multimedia」が開くので、「実行可能ファイルを実行…」ボタンをクリック
「Be Aware of Sandbox」と表示されるので、「Dismiss」をクリック(それしか操作できない)
英文には、Bottlesはサンドボックスという仕組みを安全確保のため使っていて、プログラムが実行できない場合は右上の3つの点のアイコンをクリックして、そこから起動するように書いてあるので一応おぼえておくこと
「Select Executable」が開くので、インストールするソフトの.exeファイルの置いてある場所まで開いて、.exeファイルを選択して「実行」をクリック
Windowsソフトのインストーラーが起動するので、インストールを進める
インストールが終わり、multimediaボトルの中にインストールされたソフトが一覧で表示されたら完了
インストールしたWindowsソフトの起動方法
Bottlesを起動し、起動したいWindowsソフトの入ったボトルの右側にある「>」をクリック
プログラムのリストから起動したいWindowsソフトの右にある「▶」ボタンをクリック
(今回は「MP3GainGUI」を選択)
Windowsソフトが起動する
Windowsソフトのアンインストール方法
Bottlesを起動し、アンインストールしたいWindowsソフトの入ったボトルを開く
画面右上の3つの点のアイコンをクリック
表示されたメニューの「ボトルを削除…」をクリック
これでアンインストールしたいWindowsソフトが、ボトルごと消えます。
実は、インストールしたWindowsソフトの右側にある3つの点のアイコンをクリックすると、メニューの中に「アンインストール」という項目があるのですが、なぜか私の環境では(LinuxMintでもPop!_OSでも)Windowsソフトをアンインストールできませんでした。
1つのボトルに複数のWindowsソフトをインストールすることも可能ですが、環境によってはアンインストールが別々にできない場合があるので、1つのボトルに1つのWindowsソフトをインストールすることをおすすめします。
まとめ
今回は、LinuxでWindowsソフトを動かすためのBottlesというWineのGUIフロントエンドを紹介しました。
BottlesはWineに機能を追加し、Windowsソフトをより快適に使用できるように作られています。
Windowsソフトが使えればWineでも何でもいいという方は、参考にしていただけると幸いです。
なお、やっぱりWineを使いたいという方は、Wineを3ステップでインストールする方法を以下の記事で紹介していますので、そちらも参考にしていただけたら幸いです。