Ubuntuは世界中で人気のLinuxディストリビューションで、日本でも利用者が多く、初心者にもおすすめです。
特に困ったときにはネット上に豊富に情報があるため、問題解決もスムーズです。
この記事では、2024年9月時点の最新バージョン「Ubuntu Desktop 24.04 LTS」をパソコンにインストールするための手順をわかりやすく説明します。
インストールから基本設定まで1時間ほどで完了し、難しくありませんので、ぜひお試しください。
Ubuntuの2種類のエディションとシステム要件
Ubuntuには、一般ユーザー向けの「Ubuntu Desktop」と企業向けの「Ubuntu Pro Desktop」の2種類があります。
今回は、個人利用に最適な「Ubuntu Desktop」をインストールしましょう。
2024年9月現在の最新ヴァージョンである「Ubuntu Desktop 24.04 LTS」のシステム要件は以下の通り。
CPU | 2GHzデュアルコアプロセッサ以上 |
メモリ | 4GB |
ストレージ | 25GB |
インストールメディア | DVDドライブまたはUSBポート |
通信 | インターネットアクセス(推奨) |
最近のパソコンにはDVDドライブ未搭載のものも多いですが、USBポートは必ず搭載されていますので、インストールは問題ありません。
その他のシステム要件も、よほど安いものでなければ、充分スペックがあるので問題ないはずです。
ただし、格安パソコンだとCPUコアが1つしかない場合もありますので、CPUのコア数には注意しましょう。
事前に準備しておくもの
インストールをスムーズに進めるため、以下のものを事前に準備してください。
・USBメモリ
・ユーザー名とパソコン名
・ログインパスワード
USBメモリ
ライブUSBメモリは必須です。
「Ubuntu Desktop 24.04 LTS」のインストールに使用する.isoファイルのダウンロードサイズは5.8GBです。
インストールには、8GBのUSBメモリで十分ですが、16GBあれば他のディストリビューションにも使えます。
ユーザー名とパソコン名
ユーザー名とパソコン名はインストールの途中で入力を求められるので、あらかじめ考えておきましょう。
その際、できるだけ短い名前にすることをおすすめします。
なぜかというと、Linuxを使う時に避けては通れないコマンド入力をするための「端末」にユーザー名とパソコン名が表示されるため、あまり長いとコマンドを打つスペースを圧迫してしまうからです。
下の画像は、私の端末の状況です。
図にあるように”【ユーザー名】@【パソコン名】:〜$”と表示されます。
コマンドを入力すると$の右側から表示されるため、ユーザー名とパソコン名が長いとコマンドの表示開始位置が異常に右側になってしまいます。
そうなると、長いコマンドを入力するとすぐに折り返して表示されてしまい、正しくコマンドが打てたかの確認もしづらくなってしまいます。
そうならないために、できるだけ短いユーザー名とパソコン名にすることをおすすめします。
ログインパスワード
ログインパスワードもインストールの途中で入力を求められます。
あらかじめ考えておきましょう。
なお、最初の設定でログインパスワードを入力するとパスワードの強度が表示されるのですが、強度が低いとセキュリティ上良くありません。
強度の高いログインパスワードを考えることをおすすめします。
私の場合、半角の英数字と記号を組み合わせて12文字で作りました。
これぐらいの種類と文字数だと、強度が高いと評価されます。
なお、ログインパスワードは設定時にいくらでも修正ができますので、とりあえず作っておいて、強度を見ながら修正すればいいだけなので、第一候補をひとつ考えておくくらいの気持ちで作ればいいと思います。
「Ubuntu Desktop 24.04 LTS」のダウンロードからインストール、基本的な設定まで
「Ubuntu Desktop 24.04 LTS」をインストールする大まかな流れは以下の通り。
- 「Ubuntu Desktop 24.04 LTS」の.isoイメージのダウンロード
- ライブUSBメモリの作成
- データのバックアップ
- ライブUSBメモリを使って「Ubuntu Desktop 24.04 LTS」をインストール
- 「Ubuntu Desktop 24.04 LTS」の日本語入力設定
- ディレクトリ名の英語表記化
1.「Ubuntu Desktop 24.04 LTS」の.isoイメージのダウンロード
Ubuntu公式サイトで「Ubuntu Desktop 24.04 LTS」の. iso イメージをダウンロードします。
公式URLは以下の通りです。
Googleで検索するとhttps://jp.ubuntu.com/というURLに飛ぶ場合がありますが、ここでダウンロードの操作をすると「見つかりません 要求された URL はこのサーバー上に見つかりませんでした。」と表示されてダウンロードできないので、URLには注意してください。
その後のダウンロード手順は以下の通り。(なお、本家サイトの画像は翻訳機能で翻訳してあります。)
本家サイトの上部にある「Ubuntuを入手する」をクリック
「Ubuntuを入手する」の下に表示されたメニューにある「Ubuntuデスクトップをダウンロード」をクリック
「Ubuntuデスクトップをダウンロード」ページが開くので、「24.04.1 LTSをダウンロード」ボタンをクリック
「Ubuntu Desktop 24.04.1 LTSをダウンロードしていただきありがとうございます」ページが表示され、少したつと自動でダウンロードが開始されるまで待機
ダウンロードが開始されたら、終わるまで待機
ダウンロードが終わると、保存場所(Downloadsフォルダ)に以下の通り保存される
2.ライブUSBメモリの作成
「Ubuntu Desktop 24.04 LTS」の.isoイメージが手に入ったので、専用ソフトを使ってライブUSBメモリを作成していきます。
Ubuntuでは「balena Etcher」というライブUSBメモリ作成ソフトが紹介されています。
Windows用のインストーラーもありますので、初めてLinuxをインストールする方も同じソフトが使えます。
balena EtcherのダウンロードからライブUSBメモリの作り方までは以下のページでまとめて紹介していますので、そちらを参考にライブUSBメモリを作成してください。
3.データのバックアップ
Linuxディストリビューション全体に言えることですが、インストールするとそれまで保存されていたデータは全て無くなってしまいます。
ですから、インストールの前に必ず保存データのバックアップを取ってください。
バックアップ方法としては、以下の方法があります。
・Googleドライブなどのクラウドストレージに保存する
・外付けHDDなどの物理的な外付けストレージに保存する
クラウドストレージで収まる程度の容量で高速なインターネット環境があるのでしたら、クラウドストレージでバックアップする方が追加費用をかけずにバックアップができます。
もともと外付けのストレージをお持ちなら、そちらの方が簡単にバックアップができます。
ご自身の環境に合わせてバックアップを取ってください。
4. ライブUSBメモリを使って「Ubuntu Desktop 24.04 LTS」をインストール
これで「Ubuntu Desktop 24.04 LTS」をインストールする準備が完了しましたので、いよいよインストールしていきます。
まずはパソコンの電源を切り、以下の手順でインストールしましょう。
電源を切った状態のパソコンに、ライブUSBメモリを挿す
パソコンの電源を入れる
パソコンによっては、USBメモリが挿さっているとエラーが出て起動しない場合があります。
起動デバイスメニューが起動しない場合、BIOSもしくはUEFIの設定を変更しなくてはなりません。
BIOSもUEFIもOS起動前のハード部分の管理・制御を行うプログラムで、
・起動して操作にマウスが使えない場合はBIOS
・起動してマウスで操作ができる場合はUEFI
が搭載されています。
一度パソコンの電源を切ってライブUSBメモリを抜いて、以下の記事を参考に設定してください。
BIOSの場合:Linuxインストール用ライブUSBメモリが起動しない時の解決方法
UEFIの場合:LinuxのライブUSBメモリが起動しない時の解決法(UEFIの場合)
起動デバイスが起動するので、「Try on Install Ubuntu」がハイライトされていることを確認して、「Ent」キーを押す
「Welcome to Ubuntu」が開き、言語の選択ができるようになるので、スクロールして日本語をクリック
「Welcome to Ubuntu」が日本語表記になるので、右下の「次」をクリック
「アクセビリティ」が開くが、後でシステム設定で変更できるので、なにもせずに「次」をクリック
「キーボードレイアウト」が開くので、日本語が選択されているのを確認して「次」をクリック
「ネットワークに接続」が開くので、パソコンのインターネットの接続状況と一致しているか確認して「次」をクリック
「Ubuntuを試用またはインストール」が開くので、「Ubuntuをインストール」が選択されているのを確認して「次」をクリック
「インストールの種類」が開くので、「対話式インストール」が選択されているのを確認して「次」をクリック
「アプリケーション」が開くので、「拡張選択」を選択して「次」をクリック
「コンピューターを最適化」が開くので、すべての項目にチェックを入れて「次」をクリック
「ディスクのセットアップ」が開くので、「ディスクを削除してUbuntuをインストールする」が選択されているのを確認して「次」をクリック
「アカウントの設定」が開くので、準備のときに決めていた
・ユーザー名(「あなたの名前」(「ユーザー名の入力」には自動で表示される))
・パソコン名(「コンピューターの名前」)
・ログインパスワード(「パスワードを決めてください」と「パスワードをもう一度入力」)
を入力し、「次」をクリック
「タイムゾーンを選択してください」が開くので、
・「現在地」が「Tokyo」
・「タイムゾーン」が「Asia/Tokyo」
になっているのを確認して「次」をクリック
「インストールの準備完了」が開くので、これまでの選択の内容を確認して「インストール」をクリック
インストールが開始されるので、完了するまで待つ
インストールが完了すると「インストールが完了しました」が開くので、「今すぐ再起動」をクリック
しばらくすると「Please remove the installation medium,then press ENTER:」と表示されるので、ライブUSBメモリをパソコンから抜いてから「Ent」キーを押す
アカウント選択画面が開くので、「Ent」キーを押す
パスワードの入力を求められるので、先ほど設定したログインパスワードを入力して「Ent」キーを押す
Ubuntuが起動し、「Ubuntu 24.04.1 LTSへようこそ!」が開くので、右上の「次へ」をクリック
いくつか画面が切り替わるので、必要に応じて選択して「次へ」をクリックしていくと、準備完了となって画面が閉じてデスクトップ画面が表示される
5.「Ubuntu Desktop 24.04 LTS」の日本語入力設定
インストールの最初に「キーボードレイアウト」で「japanese」を選択しましたが、それだけでは日本語入力はできませんが、以下の2ステップで簡単に日本語入力ができるようになります。
画面右上の「ja」をクリックしてメニューを表示
表示されたメニューの「日本語(Mozc)」をクリック
すると、画面右上の「ja」が「あ」に切り替わります。
試しにLibre Office Writerを起動して日本語で入力すると、ちゃんと日本語で入力できました。
この設定以降は、「半角/全角」キーを押すと、日本語と英語の切り替えができるようになります。
6. ディレクトリ名の英語表記化
この時点で左側にあるフォルダアイコンをクリックしてディレクトリを表示すると、各ディレクトリ名が日本語表記になっているので、これを英語表記に変更します。
なぜ英語表記にしなくてはならないかというと、Linuxの基本操作である端末(ターミナル)入力は半角英数字で行うのですが、ディレクトリ名が日本語だといちいち日本語入力に切り替えて入力しなくてはならず、面倒くさいからです。
ほとんどのことはWindowsのようにマウス操作でできますが、どうしても端末を使った操作をしなくてはならないことがあります。
そんなとき、Webで調べてもディレクトリ名の表記は英語になっていますし、いちいち調べた内容を頭の中で英語表記に読み替えるのも大変です。
ですので、最初に以下の手順でディレクトリ名を英語表記に変更しておきましょう。
画面左下にあるUbutuマークをクリックするとアプリの一覧が表示されるので、「端末」アイコンをクリックし、ターミナルを起動
ターミナルが開いたら、「$」の右側に以下のコマンドを入力して「Ent」キーを押す
LANG=C xdg-user-dirs-gtk-update
なお、コマンドは大文字小文字を正確に入力しなくてはならないので、間違えないように注意
「Update standard folders to current Language?」が開くので、下の方にある「Don’t ask me this again」にチェックを入れて、「Update Names」をクリック
ターミナルに以下の通り英語表記への切り替え結果が表示されるので、ターミナルを閉じる
ディレクトリを確認すると、各ディレクトリー名が英語表記に切り替わっています。
なお、Ubuntuを再起動すると、自動で以下の画面が表示されます。
「次回から表示しない」にチェックを入れて、「古い名前のままにする」をクリックしましょう。
次回からこの画面は表示されなくなります。
これで設定は完了です。
あとは、Ubuntuを使うだけです。
まとめ
Ubuntuは世界中で利用されている人気のLinuxディストリビューションで、独自調査によるWindows風ディストリビューションの日本国内人気ツートップのLinux MintとZorinOSのベースにもなっています。
Googleトレンドで日本国内で過去12ヶ月の人気度を調べてみると、Linux MintやZorinOSとは比べ物にならないくらいの人気度を誇っています。
このため、何か困ったことがあってもネットに多くの情報があり、問題も解決しやすいため、Windows風にこだわらないのであれば、初心者にもおすすめのLinuxディストリビューションです。
必要な準備をしっかり整えてから進めれば、スムーズに完了します。
Ubuntuの豊富な情報資源を活用して、快適なLinuxライフを始めましょう。