毎月5,000円の少額で積立NISAをはじめた「たのいけ」です。
積立NISAを始めて開始4ヶ月の間に、長期金利の変動で債券が変動するのを目にしました。
今まで、債券のことをなんとなく分かった気になっていましたが、実は何も分かっていなかったことに気づき、色々と調べてまとめてみました。
せっかくなので、私と同じ投資初心者の方と情報共有できたらと思い、記事にしてみました。
投資の基礎知識として、お役に立てたら幸いです。
債券とは
国や企業などの発行体が、資金調達のために利息の支払いや元本の返済などを約束して発行する有価証券のことです。
債券は株式ほどの大きなリターンは期待できませんが、一般的に銀行等の預貯金よりも利息が高いのが特徴です。
また、債券は原則としていつでも時価で売却が可能なため、一定の流動性もあります。
ただし、債券については、会社などの発行体の経営が破綻した場合には、利息の支払いや元本の返済がされなくなってしまう場合があります。
債券の購入は、このことを理解したうえ検討する必要があります。
債券の発行条件
債券は、利息の支払いや元本の返済などを約束して発行すると説明しましたが、その約束の内容は発行条件として記載されていおり、主な取引条件は以下の通りです。

なお、額面金額は、一般的には債券の買付単位(最低申込単位)のことを言います。
日本の個人向け国債の場合、購入単価(販売価格)の項目に「最低1万円から1万円単位(額面金額100円につき100円)」と記載されています。
このため、額面金額は、一般的には10,000円になります。
また、購入の際には額面金額の100円当たりで表示されている発行価格で購入することになります。
前述の日本の国債の購入単価(販売価格)の項目に記載されていた「(額面金額100円につき100円)」というのが、発行価格になります。
このため「額面金額100円につき100.15円」と仮になっていた場合、額面金額10,000円購入するのに10,015円必要になります。
債券の種類
債券といっても、色々な種類の債券があり、様々な分類に分けられます。
国内債券と外国債券
国内債券とは、日本国内(日本市場)で円建てで発行された債券のことです。
外国債券とは、国外で発行され、主に外貨建てで発行された債券のことです。
国内債券も外国債券も、発行体の違いにより、以下のように細かく分類されています。


新発債(しんぱつさい)と既発債(きはつさい)
読んで字の通り、
- 新発債(しんぱつさい)は、発行体が新規発行した債券
- 既発債(きはつさい)は、すでに発行されて市場で流通している債券
のことです。
新発債(しんぱつさい)は、発行条件に記載された価格で取引されます。
既発債(きはつさい)は、既に流通市場(セカンダリーマーケット)で流通している発行済みの債券です。
このため、価格は日々変動しています。
利付債と割引債とディスカウント債
利付債は、定期的に利金(クーポン)を受け取り、額面金額で償還されます。
一般的にイメージされる債券はこの利付債ではないでしょうか。
割引債は、利金(クーポン)が支払われない代わりに額面よりも安い金額で購入できる債券のことです。
償還時には額面金額が返ってくるので、額面金額と購入金額の差額(償還差益)で利益を得ることができます。
割引債には利金(クーポン)が無いので、ゼロクーポン債と言われます。
ディスカウント債は、利付債より利率を下げる代わりに額面よりも安い金額で購入できる債券のことです。
ゼロクーポン債との違いは、若干の利金(クーポン)が支払われることで、利付債と割引債の中間的な存在です。

担保付社債と劣後債
広く流通している社債の多くは担保の無い、無担保社債と言われるものです。
一方、担保の付いた担保付社債というものもあります。
担保付社債は、会社が倒産などした際に他の債権者よりも優先的に弁済を受けることができます。
担保付社債には、一般担保付社債と物上担保付社債(ぶつじょうたんぽつきしゃさい)があり、
- 一般担保付社債:会社の全ての財産が担保
- 物上担保付社債:会社の土地・工場・機械的設備などの物的財産が担保
という、担保の範囲が違います。
また、倒産時の弁済によって違いのある債券として、劣後債というものがあります。
劣後債とは、劣後事由(破産、会社更生、民事再生などの手続き)が発生した際、他の債権者の弁済よりも後に弁済される代わりに、他の社債よりも高い利率で利金を受け取れる債券のことです。 劣後事由が発生した際、弁済順位が決められており、その順位の順に弁済されていきます。
その順位が低いと債務不履行のリスクが高くなる代わりに、利回りなどが高くなります。
一般的な弁済順位とリスクとリターンの関係は以下の通りです。

債券投資の3つのメリット
債券投資には「収益性」「安全性」「換金性(流動性)」の3つのメリットがあると言われています。
債券の収益性とは
債券は、利息による収益(インカムゲイン)と償還・途中売買による収益(キャピタルゲイン)の2パターンで収益を得ることができます。
利息による収益(インカムゲイン)
通常、予め決められた利率分の利息を、決められた利払日に受け取ることができます。
予め決められた利率で利息が支払われるので、金利変動の影響を受けません。
また、償還日になると、額面金額通りに償還金が返ってきます。
要するに元本が保障されているので、利息分が収益となります。
償還・途中売却による収益(キャピタルゲイン)
インカムゲインである利息以外に、償還(債務の返済)や途中売却によって利益を得ることができます。
債券はいつでも売買でき、時価も変動します。
このため、額面金額よりも時価が安い時に購入し、その後償還日が来ると額面金額分返ってくるので、額面金額と購入価格の差額が利益になります。
途中で売却した際、購入時よりも高値で売却できれば売却金額と購入金額の差額が利益になります。
ということは、時価が購入価格よりも下がった時に売却してしまうと、損が出てしまうことになります。
<償還とは>
償還とは、債券や投資信託の運用期間が終わり、償還日時点の保有者に対してお金を返還することを言います。
償還が決定し、償還日までその投資信託を保有していた場合、「償還価額」(償還日の基準価額)で換金が行われます。
そして、償還には以下の2種類があります。

特に、将来どれくらい収益があるか分からない不動産や株式とは違い、定期的に支払われる利息(インカムゲイン)があることで、計画的に資産を運用することが可能になります。
債券の安全性とは
債券は株式と違い、通常、償還日までの間にいくら価格変動しても償還日が来れば額面金額分が償還されます。
また、償還や利息の支払いが確実に行われるように、法律でさまざまな規定が設けられているため、債券の償還の安全性が高くなっています。
しかし、債券の発行者が倒産などで元本の返済や利息の支払いができなくなることもあります。
そのため、専門期間が債券の発行者の信用度を測って格付けをしています。
格付け機関としては、
- 米国系のムーディーズ、S&P
- 欧米系のフィッチ・レーティングス
- 国内では格付投資情報センター(R&I)や日本格付研究所(JCR)
などがあります。
格付けはアルファベットで表されます。
格付け機関によってアルファベットの表記に違いがあるものの、大体おなじような内容です。

一般的に、格付けが高くなるにしたがって利回りは低なり、格付けが低くなるにしたがって利回りは高くなります。
そして、BBB以上の格付けを「投資適格格付け」といい、信用度が比較的良好だとされています。
また、BB以下の格付けは「投資適格格付け」といい、信用度が低いとされています。
平たくいうと、
- BBB以上の格付けは、ローリスク・ローリターン
- BB以下の格付けは、ハイリスク・ハイリターン
ということになります。
ただ、あくまでも民間の格付け会社の意見なので、BBB以上なら絶対に発行体が経営破綻しないと保障されているものではありませんし、格付けが低いからといって絶対投資してはいけないということでもありません。
しかし、BBB以上の格付けのものに絞って投資するが無難なのは間違いありません。
なお、BB以下の投機的格付けの債券のことを、「ジャンク債」や「ハイイールド債」、「高利回り債」とも呼びます。
債券の換金性(流動性)とは
「債券の収益性とは」で説明した通り、債券は償還日にならなくても、途中で売却(換金)することができます。
これにより債券は投資家の間で流通することになるため、換金性を流動性ということもできます。
一般的に、信用度や知名度が高く、発行数が多い債券ほど流動性が高くなっています。
債券は、償還日を待たずに途中で売却し換金することができます。
債券価格は、金利情勢や需給動向などの流通市場の状況により変動しており、その債券を購入したいという投資家がいれば売却することが可能です。一般的に、信用力や知名度が高く、発行量が多い債券ほど流動性が高くなっています。
「収益性」「安全性」「換金性(流動性)」の関係について
債券には、「収益性」「安全性」「換金性(流動性)」の3つのメリットがあることを紹介しましたが、それら全てが優秀な債券というものはありません。
- 「安全性」が高ければ「収益性」が低くなる
- 「収益性」が高ければ「安全性」や「換金性(流動性)」が低くなる
というように、どちらかが高いとどちらかが低くなるという関係にあります。
このため、自分の投資目的に応じて、どのメリットに重点を置くかを決めてから購入することが大事になってきます。
利率と利回り
債券で収益を得るには、利率と利回りが大切です。
利率とは
利率とは、額面金額に対する利子の1年間の割合(率)のことです。
利率は、債券の発行条件に記載されています。
このため、額面金額×口数×利率=利息(利金)となります。
例えば、額面金額10,000円、利率0.15%の債券を10口購入した場合、利息(利金)は1,500円になります。

利回りとは
利回りとは、購入金額に対する利息と償還差損益の合計の割合(率)のことです。
例えば、額面金額10,000円、利率0.15%の債券を10口、990,000円で購入して1年運用した場合、以下のような計算で利回りを算出します。

上記では、償還差損益がプラス10,000円の場合で計算しましたが、実際は必ず10,000円プラスになる訳でもなく、マイナスの場合もあり、それによって利回りも変わります。
このため、投資の判断材料としては固定の利率よりも利回りを重視する必要があります。
なお、実際に利回りを計算する場合は、税金などの費用も考慮しなくてはなりません。
利回りの主な種類
また、利回りには主に「応募者利回り」「最終利回り」「所有期間利回り」の3つがあり、購入と償還や売却の時期によって、以下のように分けられます。

債券のリスク
債券は、比較的リスクの少ない金融商品と言われていますが、リスクが全くない訳ではありません。
債券のリスクを知らないで取引すると、大きく損をする場合もあります。
債券のリスクには、主に以下のようなものがあります。
信用リスク
債券は、利息の支払いや元本の返済などを約束して発行される有価証券です。
しかし、その債券を発行した会社などの発行体が倒産や債務不履行(デフォルト)になってしまうと、元本や利息の支払いが滞ったり、支払われなくなったりすることがあり、これを信用リスクといいます。
このリスクを少しでも回避するための判断材料のひとつとして、格付けがあります。
民間の格付け会社が独自に格付けしているため絶対ではありませんが、発行体の信用度を判断するひとつの指標として広く活用されています。
価格変動リスク
価格変動リスクは、債券を償還日よりも前に時価で売却した場合に発生することがあります。
債券は新規発行のものを購入し、償還日まで保有していれば、債務不履行にならなければ価値は変わりません。
しかし、償還日までに時価で売却する場合は市場価格で売却しなくてはなりません。
この時に購入した時よりも安く売却しなくてはならなくなったりすることがあり、これを価格変動リスクといいます。
流動性リスク
流動性リスクも、債券を償還日よりも前に時価で売却した場合に発生することがあります。
債券を時価で売却するには買い手が必要です。
しかし、買い手(売買)が極端に少なくなることで買い手が見つからず、取引が成立しなくなります。
そうすると、売りたい時に売れなかったり、希望していた価格よりも安く取引しなくてはならなくなったりすることがあり、これを流動性リスクといいます。
流動性リスクは、
- 該当の債券に人気があるのか無いのか。
- 信用リスクが高いのか低いのか。
- 発行量が多いか少ないか。
などによって変動します。
発行体である企業の不祥事や国の政治不安によって人気や信用が落ちます。
そうすると、債券を手放したい人が増えますが、逆に買いたい人は減ります。
結果、売買(出来高)が極端に減って、値が付かずに売却ができなかったり、困難になったりするという訳です。
為替リスク
為替リスクは、外貨建ての債券を購入した場合に発生することがあります。
外貨建ての債券の利息や償還金は外貨で受け取ることになります。
受け取った外貨は、国内で使うためには円と交換しなくてはならないのですが、交換の債には外国為替市場の為替レートの影響をうけます。
例えば、為替レートが1ドル/100円の時に1,000ドルを円と交換すると100,000円受け取れますが、 1ドル/98円の時に円と交換すると、受け取れる額は98,000円になってしまいます。
円安の時は受け取り金額は増え、円高の時は減ります。
カントリーリスク
カントリーリスクも、外貨建ての債券を購入した場合に発生することがあります。
債券を購入した国の政治や経済状況、社会情勢の混乱などで債券の価値が変動することがあり、これをカントリーリスクといいます。
現在、日本の債券より外国債の方が利回りが良い状態です。
しかし、日本よりも政治や経済状況、社会情勢が不安定な国というのも多くあります。
特に外国の国債を購入する場合は、その国の政治や経済状況、社会情勢に注意する必要があります。
債券の価格と金利の関係
新しく発行される債券を購入し、償還日まで保有した場合、償還日には額面金額通りに返済されます。
しかし、償還日前に売買する場合、時価で取引することになります。
この時価の変動の原因のひとつが金利です。
通常、債券発行時よりも金利が上がると債券の価格は下がり、金利が下がると債券の価格は上がります。
どうしてこのようなことが起こるのでしょうか。
例えば、金利0.5%の時に発行された債券を購入していたとしましょう。
その後、金利が2.0%に上がった場合、その時に発行された債券や預金などの利率が高くなります。
金利0.5%の債券と、金利2.0%の債券や預金などでは、当然、金利2.0%の債券や預金の方が利率が良いので得になります。
そうすると、元々持っていた金利0.5%の債券を売却して金利2.0%の債券を買ったり預金したりしようと考える人が増えてきます。
このため、債券が売られていき、売ったお金は預金などに流出してしまうので、債券の価格が下がってしまいます。
- 金利が発行済債券の利率より高くなる
- 高くなった金利の債券や預金の方が得になるので、買いたくなる
- 元々持っていた発行済債券を売って、高い金利の債券や預金などの購入等の資金にする
- 債券の売りが増える
- 発行済債券を売ってできたお金は、預金などの利率の良い債券以外のものに流出していく
- 債券の売りが増えて、もともと債券にあった資金が債券以外のものへ流出して、債券の価格が下がる
逆に、債券を購入した時よりも金利が下がると、発行済債券の方が得になるので、預金などからお金が流入して買いが増えるので、債券の価格が上がります。
このように、債券の価格と金利は逆の動きをするため、この動きを利用して償還日前に売買して利益を得ることも可能ですが、そう簡単にいかないのが投資です。
債券はリスクが少ない金融商品といわれており、それをわざわざリスクを取って売買するのはもっと上級者のやることです。
初心者や資産運用のリスクを減らして安定した資産運用を目指したいのであれば、償還日まで保有して利息と償還金を受け取るのが賢明な判断だといえます。
まとめ
積立NISAを始めて実績を公開するようになり、開始4ヶ月の間に長期金利の変動で債券が変動するのを目にしました。
今まで、債券のことをなんとなく分かった気になっていましたが、実は何も分かっていなかったことに気づき、色々と調べてまとめてみました。
せっかくなので、私と同じ投資初心者の方と情報共有できたらと思い、記事にしてみました。
記事にするのに結構な時間がかかってしまいましたが、それなりに要点をまとめられたと思います。
投資の基礎知識として、お役に立てたら幸いです。