調子の悪いWindowsパソコンを廃棄しようとして、「中のデータがちゃんと消去できているか心配で捨てられない」と結局そのまま棚の奥に置きっぱなしになっていませんか?
データを消去しないと、個人情報が漏洩するかもしれません。
無料でデータ消去してくれる回収業者もありますが、回収業者に渡す前にデータは消去したいですよね。
「でも、Windowsがまともに動かないのにデータ消去なんて…」
そんなときUSBメモリを使ってLinuxというOSをクリーンインストールすると、きれいサッパリ中のデータを消去することができます。
妻が歴代使用した2台のWindowsパソコンを、私はこの方法でデータ消去して廃棄しました。
必要なのはUSBメモリ1つだけ。
容量は4GBあればできますが、16GBあれば超余裕です。
また、Linuxは低スペックだったり古いパソコンでも使用できるという特徴があり、Linuxをインストールしたら普通に動くようになるかもしれないというガチャ付き。
調子の悪いWindowsパソコンを廃棄する際には、ぜひLinuxのクリーンインストールを試してみてください。
Windowsパソコンを廃棄するときの一般的なデータ消去方法
「Windowsパソコンを廃棄するときは初期化すれば良いんじゃない?」と思われる方も多いと思いますが、実は、ただ初期化しただけでは「見かけ上消去したように見えているだけ」で、復元ソフトを使用するとデータが復元されてしまったりするので、もっと確実にデータを消去する方法が必要です。
Lenovoのサイトに、Windowsパソコンを廃棄するときのデータ消去方法が4つ紹介されていました。
・Windows10 の標準機能を使う
・データ消去ソフトを使用する
・ストレージを物理的に破壊する
・電磁消去を行う
今回紹介したいのは、調子の悪いWindowsパソコンのデータ消去方法です。
Windowsがまともに動かないので、上記のうち「Windows10の標準機能を使う」と「データ消去ソフトを使用する」はできません。
仮にできたとしても、ちゃんと消去できたか不安でいっぱいになります。
「ストレージを物理的に破壊する」という方法は、パソコンを分解する必要があり、これがまた大変です。
ストレージとはデータが保存されている部分で、HDDやケースに入ったSSDのストレージの場合、破壊するにはドリルが必須です。
以前、自分のパソコンを捨てるのにやったことがあるのですが、ドリルの刃を2本折ってしまい、最後に使ったドリルの刃は買い換えないといけないほどボロボロになってしまいました。
ハンマーで破壊するという方もいるようですが、前述の通りかなり頑丈で大変ですし、中まで破壊できているか不安が残ります。
「磁気消去」というのは、HDDの場合に有効な手段ですが、業者に依頼する必要があります。
できれば業者に渡す前にデータは消去したいですよね。
こうなると、大変だけど頑張って「物理的に破壊」するしか無いようですが、その前に「USBメモリを使ってLinuxをクリーンインストールする」という方法を試してみてください。
物理的な故障の場合は仕方ありませんが、不調の原因がWindows側にある場合に有効です。
これなら、苦労してパソコンを分解する必要もありませんし、もしかしたら「Linuxパソコン」として復活するかもしれません。
液晶が壊れてるとかの見て分かる故障は別ですが、「動きが悪い」という場合は、物理的な故障なのか、Windows側の問題なのかの区別は難しいので、とりあえず試してみてください。
「USBメモリを使ってLinuxをクリーンインストールする」って?
知らない方も多いと思いますので、まずはLinuxが何なのかを超ザックリ説明します。
Linuxとは、WindowsやMacOSと同様のOS(オペレーティング・システム)と呼ばれるものです。
Windowsの代わりにパソコン操作ができるシステムだと思ってください。
正確にはLinuxはOSの中心部分のシステムのことで、このシステムを使用してWindowsやMacOSのように色々できるように組んだセットをディストリビューションと言い、種類がたくさんあります。
これらのディストリビューションは、インストーラーを保存したDVDやUSBメモリをパソコンに挿入して起動すると、Windowsがインストールされているパソコン内蔵のHDDなどのストレージではなく、USBメモリから起動するので、不調の原因がWindows側の問題だった場合でもインストールができます。
Linuxをクリーンインストールすると、ストレージ内はWindowsとは違う形式でフォーマット(初期化)され、データも書き換えられるので、元のデータが完全に消去されるという訳です。
逆に、Linuxをインストールするとデータの復元は不可能なので、調子が悪くてもなんとか動くなら、可能な限りデータのバックアップを取っておくことが大切です。
パソコンにLinuxをインストールするための「ライブUSB」の作り方は、以下の記事にまとめてありますので、参考にしてください。
データ消去におすすめのディストリビューションはLinux Mintです
先ほど、「ディストリビューションはたくさんあります」と紹介しましたが、どのディストリビューションでも不調なパソコンにインストールできる訳ではありません。
実際に私が2台あった妻のパソコンのデータ消去を行ったとき、最初はZorinOSというディストリビューションをインストールしようとしたのですができませんでした。
次に、Linux Mintというディストリビューションをインストールしてみたら、こちらは上手くできました。
理由はわかりませんが、2台ともZorinOSはインストールできず、Linux Mintならインストールできました。
以上のことから、不調なWindowsパソコンにインストールするなら、Linux Mintをおすすめします。
ZorinOSとLinux Mintしか試していないので、他のディストリビューションでもインストール率の高いディストリビューションはあるかもしれませんが、こればっかりは試してみないとわかりませんし、データ消去のためだけにそこまで労力を費やすのはバカバカしいですよね。
まずは、Linux Mintを試してみてください。
Linux Mintって何?インストール方法は?
パソコンのデータを消去するだけなので、Linux Mintがどういうものかということは知る必要はないかもしれませんが、ひょっとすると、Linuxパソコンとして使えるようになるかもしれませんので、Linux Mintがどういうものか簡単に紹介します。
Linux Mintは、Windowsユーザーが乗り換えやすいようにするために、Windows風の外観を持ち、家庭やオフィスでの作業に必要な多くのソフトウェアがあらかじめインストールされています。
Linuxディストリビューションの中ではメジャーな方で、日本のユーザーも多いです。
下の画像がLinux Mintのデスクトップの画像です。
メニューも表示されています。
Windowsの見た目と似ていると思うのですが、いかがでしょうか。
私も以前はWindowsを使用していてLinux Mintに乗り換えましたが、乗り換え直後から直感的に使えましたし、Windows特有の長い自動アップデートが無くなり、起動時や終了時のイライラからも開放されました。
では、Linux MintをどうやってWindowsパソコンにインストールするかというと、以下の流れになります。
- 電源を切ったWindowsパソコンにライブUSBを挿す
- Windowsパソコンの電源を入れる
- ライブUSBからLinux Mintが起動するので、デスクトップにある「Install Linux Mint」アイコンをダブルクリック
- 表示された指示に従って作業を進める
インストール方法をもっと詳しく知りたい方は、以下の記事で紹介していますので、ご覧ください。
ここで注意がひとつ。
パソコンの設定でライブUSBが起動しない場合があります。
そんな時はBIOSの設定を変更しなくてはなりません。
BIOSの設定の変更方法は、以下のページにまとめてありますので、そちらをご覧ください。
インストールが完了すればWindowsだったころのデータは完全に消えていますので、電源をブチ切りしてもらって構いません。
電源が切れたら廃棄してください。
なお、ちゃんと操作して終了さるには、画面左下にあるLinux Mintのマークのメニューアイコンをクリックするとメニューが表示されるので、電源アイコンをクリックして電源を切る選択をすれば電源が切れます。
もし、Linux Mintをそのまま使ってみようかなと思った方は、以下のページの「ディレクトリ名を日本語表記から英語表記に変更」の項目を設定をしてください。
一部英語表記にならなかったり、日本語のディレクトリが残ったりする場合は、手動で修正してください。
Linuxを今後使っていくなら必要な設定です。
まとめ
今回は、調子の悪いWindowsパソコンを廃棄する際のデータ消去方法として、USBメモリを使ってLinuxをインストールする方法を紹介しました。
Linuxは無料で使用できる軽量で高性能なOSです。
インストールが上手くいったら、Windowsだったころよりも軽快に作動するかもしれません。
液晶画面が付かないとか、電源を押しても電源が入らないなどの物理的な故障の場合は無理ですが、Windows側に問題があるときには有効です。
電源が入って、画面に何かしら表示されるようなら、とりあえず試してみることをおすすめします。