これまで、Linuxのインストール方法やデュアルブート、ソフトウェアの互換性などの情報をお届けしてきました
そして、多くの記事を読んでくださったあなたなら、きっとこう感じているはずです
「Linuxは、普段使いとしても十分に魅力的だ」
「でも、インストールの手間やPCとの相性問題、デュアルブートのリスクなどのハードルが高くて、少し怖い…」
PCに新しいLinuxを入れるたびに、私も同じような不安や面倒さを感じています
もし、あなたがその最後のハードルさえもサッと飛び越えたいと考えているなら…
この記事は、そんなあなたのために、最もシンプルで、最も確実な答えを用意しました
それは、「Linuxは、インストールするのではなく、最初からインストールされているPCを買う」という選択です
この記事では、なぜそれが「正解」なのかという理由から、具体的なおすすめPC、そして購入時の注意点まで、あなたが最高のLinuxライフをスタートさせるために必要な、全ての情報をお届けします
なぜ「Linux PCを買う」のが正解なのか?
「わざわざPCを買わなくても、手持ちのPCにインストールすれば無料じゃないか」
そう思う方もいるでしょう
もちろん、それもLinuxの大きな魅力の一つです
しかし、時間や手間、そして何より「安心感」を考えたとき、「買う」という選択には、それを上回る大きなメリットがあります
・ インストールの手間と時間から、完全に解放される
・「PCとの相性問題」という最大の不安がゼロになる
・ デュアルブートのリスクを一切負わなくて済む
・ メーカーによる完全な「動作保証」という、最高の安心感が手に入る
これらのメリットは、あなたがこれまで乗り越えてきた、あるいはこれから直面するであろう、全ての技術的なハードルを「一瞬で」消し去ってくれます
浮いた時間とエネルギーを、Linuxを「使う」という、本来の楽しみに全て注ぎ込むことができるのです
今回のおすすめPC、選定の基準
この記事でおすすめするPCは、私が個人的に好きだから、という理由で選んだわけではありません
「Linuxを普段使いしたい」と考えるあなたのために明確な基準を設け、それを満たしたものだけを厳選しました
その選定基準は以下の通り
・日本国内で、個人として普通に購入できる
・メーカーから「新品」として販売されている
・最初からLinuxがインストールされている(プリインストール)
・価格が20万円台までで、現実的に検討できる
この基準で調査した結果、私が自信を持っておすすめできるパソコンを、次の章で紹介します
結論】今、買うならこれ!おすすめLinuxノートパソコン
お待たせしました
ここからは、具体的なおすすめPCを紹介します
いろいろ調べた結果、サポートの安心感や品質、そして最近のCPUの問題などを総合的に判断し、現時点で私が自信を持っておすすめできるのは、Dellの「Precision」シリーズのノートPCです
Dell Precisionシリーズをおすすめする理由
- 理由1:国内大手メーカーで、唯一の選択肢
私が設けた基準で探したところ、現在、国内販売をしている主要PCメーカーでLinuxプリインストールPCを販売しているのはDellだけでした - 理由2:大手メーカーならではの、圧倒的な安心感とサポート体制
何かあった時に、日本語での手厚いサポートが受けられます
その安心感は、何物にも代えがたいメリットです - 理由3:「ワークステーション」という、パワーユーザー・プロ向けの高い信頼性
「ワークステーション」は、パワーユーザーや 開発者、研究者が使うことを想定しているため、パーツの選定や安定性が極めて高く、安心して長く使えます
私もWindowsを使っていたころに、Dell製のPCを使用していたことがあります
そのPCは「ワークステーション」ではありませんでしたが、長く、安定して使用できていました
そのDellの「ワークステーション」ですから、私個人としても、安心しておすすめできるというものです
Dellの製品はカスタマイズが可能
Dellのサイトを見たことのある方はご存知だと思いますが、Dellの製品は購入前にカスタマイズが可能です
このため、ここでおすすめするPCはノーマル設定だと20万円台なのですが、高いパーツにカスタマイズしてしまうと、簡単に30万円を超えてしまいます
その点はご注意ください
また、カスタム前はOSがWindowsなので、カスタマイズ画面でLinux(Ubuntu)に変更する必要があります
忘れずにOSを変更しましょう
なお、OSをWindowsからLinuxに変更すると、9,000円ほど安くなります
あなたに合ったモデルの選び方
これから3つのモデルを紹介しますが、どれを選ぶか迷ったら、以下の基準で考えてみてください
- 持ち運びやすさを最優先するなら → Precision 3490 (14インチ)
- グラフィック性能を重視するなら → Precision 3590 (NVIDIA搭載)
- CPU性能を少しでも高めたいなら → Precision 3591 (高性能CPU)
これを頭に入れた上で、それぞれの詳細を見ていきましょう
おすすめモデル1:Dell Precision 3490(14インチモデル)
まずは、安い方のモデルから
このモデルは、「パワーユーザー向け」のワークステーションです
ノーマル設定の基本スペックの概要は以下の通り
| CPU | インテル® Core™ Ultra 5 125U, vPro® エッセンシャル (12 コア, 最大 4.3 GHz まで可能, 15 W) |
| メモリ | 8 GB, 1 x 8 GB, DDR5, 5600 MT/s, 非ECC |
| グラフィックス | インテル® グラフィックス または インテル® Arc™ Pro グラフィックス |
| ディスプレイ | 14インチ FHD 1920×1080, 60Hz, 250 nits, 非タッチ, FHD HDR RGB カメラ, マイク, WLAN, 4G WWAN |
| ストレージ(M.2 NVMe SSD) | 256GB, M.2 2230, Gen4 TLC PCIe NVMe, SSD, Class 35 |
ディスプレイが14インチなので、少し小さいと感じる方もいるかもしれません
この後紹介するのは15.6インチのものなので、「持ち運びもしたい」という方は、こちらを選ぶのが良いでしょう
メモリとストレージは、使い方によってはカスタマイズした方がいいと思います
詳細は、以下のリンクからご確認ください
↓
Precision 3490 ノートパソコン(2024年3月13日発売)
(「カスタムオーダー」のところの「今すぐカスタマイズ」からカスタマイズ画面に行けます)
おすすめモデル2:Dell Precision 3590(15.6インチ・NVIDIA搭載モデル)
次に安いモデルがこちら
このモデルも、「パワーユーザー向け」のワークステーションです
ノーマル設定の基本スペックの概要は以下の通り
| CPU | インテル® Core™ Ultra 5 135H vPro® エンタープライズ (18 MB キャッシュ, 14 コア, 18 スレッド, 最大 4.6 GHz まで可能, 28W) |
| メモリ | 8 GB, 1 x 8 GB, DDR5, 5600 MT/s, 非ECC |
| グラフィックス | インテル Core Ultra 5 135H プロセッサー vPro と NVIDIA RTX 500 Ada 4GB GDDR6 グラフィックス |
| ディスプレイ | 15.6インチ FHD 1920×1080, 60Hz, 250 nits, 非タッチ, FHD HDR RGB カメラ, マイク, WLAN |
| ストレージ(M.2 NVMe SSD) | 256GB, M.2 2230, Gen4 PCIe NVMe, SSD, Class 35 |
ディスプレイが15.6インチとPrecision 3490よりも大きくなっています
自宅据え置き用ですね
そしてなんと、グラフィックスには「NVIDIA RTX 500 Ada」が搭載されています
「NVIDIA RTX 500 Ada」はIntele CPU内蔵の グラフィック機能よりも性能が高いので、グラフィック系の趣味やゲームを楽しみたい方には、Dell Precision 3490よりもこちらの方がおすすめです
なお、「インテル Core Ultra 5 135H プロセッサー vPro」はビジネス向けの機能なので、「普段使い」では気にする必要はありません
やはり、メモリとストレージは、使い方によってはカスタマイズした方がいいと思います
詳細は、以下のリンクからご確認ください
↓
Precision 3590 ノートパソコン(2024年3月13日発売)
(「カスタムオーダー」のところの「今すぐカスタマイズ」からカスタマイズ画面に行けます)
おすすめモデル3:Dell Precision 3591(15.6インチ・高性能CPUモデル)
こちらは、「プロフェッショナル向けグラフィックス用」に設計されたワークステーションとなっています
ノーマル設定の基本スペックの概要は以下の通り
| CPU | インテル® Core™ Ultra 5 135H, vPro® エンタープライズ (14 コア, 最大 4.6 GHz まで可能 ターボ, 45 W) |
| メモリ | 8 GB, 1 x 8 GB, DDR5, 5600 MT/s, 非ECC |
| グラフィックス | インテル® グラフィックス または インテル® Arc™ Pro グラフィックス |
| ディスプレイ | 15.6インチ FHD 1920×1080, 60Hz, 250 nits, 非タッチ, FHD HDR RGB カメラ, マイク, WLAN |
| ストレージ(M.2 NVMe SSD) | 256GB, M.2 2230, Gen4 PCIe NVMe, SSD, Class 35 |
こちらもディスプレイが15.6インチとPrecision 3490よりも大きいモデルです
Precision 3590よりも値段が高いですが、「NVIDIA RTX 500 Ada」は搭載していません
CPUのスペックがPrecision 3590よりも高くなっています
こちらも、メモリとストレージは、使い方によってはカスタマイズした方がいいでしょう
詳細は、以下のリンクからご確認ください
以下のPrecision 3590のページの「1.基本構成の選択」で、Precision 3591を選択すると確認できます
↓
Precision 3590 ノートパソコン(2024年3月13日発売)
(Precision 3591のページの「カスタムオーダー」→「今すぐカスタマイズ」からカスタマイズ画面に行けます)
購入時のOS選択について(重要)
先程も少し触れましたが、購入ページでOSを選択する際、「Ubuntu 22.04とDCA EnablerをPresisionにインストール」という、少し見慣れない選択肢を選んでください
「DCA Enablerって何?」と不安に思うかもしれませんが、心配はいりません
これは、主に企業でたくさんのPCを管理するための、法人向けの機能です
私たち個人ユーザーがこの機能を使うことは、まずありません
とにかく、この選択肢を選ぶことで、「メーカーによって完全に動作保証されたUbuntuがインストールされる」と覚えておけば大丈夫です
安心して、この項目を選んで購入手続きを進めてください
なぜ、おすすめパソコンは「Ubuntu」搭載なのか?
ここで、いつも私のブログを読んでくださっている方は、こう思ったかもしれません
「あれ? いつもはLinux MintやZorin OSをおすすめしているのに、今回はUbuntuなの?」と…
私が普段、Windowsからの移行に最適なディストリビューションとしてLinux MintやZorin OSをおすすめしている気持ちに、今も全く変わりはありません
ではなぜ、この記事ではUbuntu搭載PCを紹介したのか
理由はとてもシンプルです
それは、「現在、日本で販売している主要メーカーから安心して購入できるLinuxプリインストールパソコンが、事実上、Ubuntuを搭載したモデルしかなかったから」です
そして、これは決して悪いことではありません
実は、私がおすすめしているLinux MintもZorin OSも、この「Ubuntu」というディストリビューションを元に作られています
Linux MintやZorin OSは、Ubuntuという基礎の上に、Windowsユーザーがより使いやすいようにカスタマイズされたLinuxディストリビューションということです
すなわち、Ubuntuが正常に動作するならば、Linux MintやZori OSとも親和性が高いということ
Dellの保証期間が終わったら、いよいよLinux MintやZorin OSをインストールしてみましょう!
なお、Dell製品の保証期間は、標準で1年または3年のハードウェア限定保証が含まれていますが、特定の製品や地域によって異なります
保証の有効期限は、購入日や製品の種類によって異なるため、具体的な製品の保証状況は、購入後にDellサポートサイトで確認してください
保証期間内にLinux MintやZorin OSに入れ替えると保証を受けられない可能性がありますので、注意しましょう
今回紹介した製品には、Ubuntu 22.04 LTSというバージョンがインストールされています
そして、2025年8月現在のUbuntuの最新バージョンは24.04です
すぐにバージョンアップしたくなりませんか?
でも、バージョンアップはおすすめしません
なぜなら、22.04というバージョンが、DellがPCの全ての部品がこのバージョンで完璧に動くことを保証している「メーカーお墨付き」の環境だからです
Ubuntu 22.04は2027年4月までがサポート期間です
まずはこの最高の環境をそのままお使いください
デスクトップや他の選択肢は?
「ノートパソコンだけ?デスクトップはないの?」
「他のメーカーや、もっと安い選択肢はないの?」
そう思う方もいるでしょう
もちろん、他の選択肢も存在します
ここでは、それらについて正直に解説します
Dellのデスクトップモデルについて
DellにもUbuntuを搭載できるデスクトップモデルは存在します
しかし、2024年にIntel製CPUの一部の世代の特定のモデルで、不安定な動作が報告されている問題がありました
Dellで現在販売しているUbuntuを搭載できるデスクトップPCのCPUは問題のあったモデルとは違いますが、同じ世代にあたるため、現時点では、より安心して使えるノートパソコンの方を強くおすすめしています
BTOパソコンという選択肢について
Dell以外にも、「BTOパソコン」という選択肢があります
これは、パーツを自由にカスタマイズできる、中〜上級者向けのPCで、「BTO専門ショップ」で購入できます
しかし、販売元のサポート体制や信頼性を自分で見極める必要があり、PCの知識に自信がない方には、おすすめできません
「PCのことはメーカーに任せて、とにかく安心して使いたい」という方には、やはりDellが最適です
【まとめ】最高のLinux体験は「買う」ことから始まる
今回は、Linuxを最高に快適で、安心して始めるための選択肢として、「Linuxプリインストールパソコン」を紹介しました
手持ちのパソコンに自分でインストールするのも、もちろんLinuxの大きな楽しみ方の一つです
しかし、もしあなたが、
「インストールの手間や不安から解放されたい」」
「とにかくLinuxを『使う』ことに集中したい」
と心から願うなら、「PCごと買ってしまう」のが最も賢く、そして確実な方法です
今回紹介したPCは、決して安い買い物ではありません
しかし、それは、あなたがこれから何年にもわたって得られるであろう「快適な時間」と「絶対的な安心感」への、最高の投資になるはずです
ぜひ、あなたに最適な一台を見つけて、最高のLinuxライフをスタートさせてください

